2026/11/05 13:59
ミリタリージャケットの定番中の定番、M-65。街で見かけない日はないくらい当たり前の存在ですが、この一着が生まれるまでには、20年以上にわたる試行錯誤の歴史があるんです。今回は、店主がつい語りたくなってしまう、その系譜の話をさせてください。
■M-65に至るまでの5つの世代
アメリカ陸軍のフィールドジャケットは、M-1941に始まり、M-1943、M-1950、M-1951、そしてM-1965と、戦争のたびに改良を重ねてきました。数字はそれぞれ採用された年を表しています。
なかでもM-1943は、第二次世界大戦から朝鮮戦争まで広く着られた、フィールドジャケットの原型ともいえる存在です。
■わずか数か月だけ作られた「幻のM-50」
マニアの間でひそかに語られるのが、M-1950の存在です。1950年12月から翌年の春までしか作られなかった、とても短命なモデル。M-1943の内側に、ライナーを留めるためのボタンを足しただけのものなので、コレクターの間以外ではほとんど知られていません。
ところが、このM-50が意外な場面で活躍していたんです。朝鮮戦争の現場では、次のM-1951が行き渡る1953年の春まで、主にM-1943とこのM-1950が着られていたそうです。教科書には載らない、でも確かに兵士の体を守っていた一着。こういう話を知ると、ミリタリーの服がただの「服」ではなく、時代の記録に見えてくるんですよね。
■M-51からM-65へ。何が変わったのか
1965年、アルファインダストリーズが開発したM-65が登場します。前のM-51から大きく変わったのは、素材と細部です。
・生地は、ナイロンとコットンを混ぜた「NYCO」になり、風や水に強くなった
・M-51ではボタンで取り付けていたフードが、襟の中にジッパーで収納する形になった
・袖口は面ファスナーに、前立ての雨よけはスナップ留めに変わった
最初の実戦はベトナム戦争。モンスーンの雨のあとに冷え込む中部高原で重宝されたといわれています。
■ジッパーで年代が分かる
マニアがM-65を手に取ると、まず前のジッパーを見ます。1966〜71年ごろはアルミ、1972〜86年ごろは真鍮、1986年以降はナイロンと、時代によって素材が変わっているので、ジッパーが製造時期の手がかりになるんです。古着屋でM-65を見かけたら、ぜひジッパーを確かめてみてください。
■戦場の服から、街の服へ
戦場のために作られたM-65ですが、帰還兵たちが反戦デモで着たことをきっかけに、反骨の象徴として街に広まっていきました。半世紀以上たった今も定番であり続けるのは、20年以上の改良が積み重なった「完成形」だからこそ、なのかもしれません。
■MoDiで扱っているM-65
MoDiでは、当時の仕様を再現したM-65(レプリカ)を扱っています。黒とオリーブ、サイズもいろいろそろえています。
・M-65 フィールドジャケット(レプリカ)
https://moridiem.base.shop/items/164832450
・M-65 フィールドジャケット ブラック(レプリカ)
https://moridiem.base.shop/items/164843727
■参考にした資料
Wikipedia「M-1965 field jacket」「M-1951 field jacket」/Alpha Industries「History of the M-65 Field Jacket」/analogshift「A Brief History of the M-65 Field Jacket」

